春風が頬をなで恋の予感に胸躍らせる、そんなシャイでイタイケな季節がやってきたぜ!
コレを読んでるヤツの中にはこの春、
故郷を捨てて最終列車に飛び乗ってはるばる上京してきたヤツもいると思うけど、
だめだぞオマエ、パンパンに膨らんだマジソンバッグなんか持って
上野あたりをウロウロしてちゃ、すぐに補導されて、田舎に強制送還だぞ。
とにかく東京は、オソロシイ所だぞ!
街を歩いているヤツのほとんどがウソツキだから
「只今の御時間、八千円ポッキリです」
とか言って、八千円で済んだためしがねぇしな。
ホント、東京で信用していいのは、このゴリちゃんだけだぞ。
銀行だってあてにするな、オレだけを信じろ!
まとまった金が出来たらオレにあずけるのが一番安全だぞ。
話は変わるけど、最近リーゼントの調子はどうよ?
キミたちの夢と希望に負けないくらいに大きく膨らんでいるかい?
でもでっかいリーゼントのヤツって最近見かけなくなったよな。
オレが中学生の頃なんてでかいリーゼントが全盛期で中でも
Y先輩って人のリーゼントが笑っちゃうぐらいにでかくってさ、
頭の上に戦艦ヤマトが乗っかってるみたいなカンジで
とにかくコンクールに出したら優勝するんじゃないかってぐらいでかいのよ。
しかも毎日完ペキにセットしてくるんだ、いったい朝、何時に起きてたんだろうね?
牛乳屋より先に起きなきゃあのでかいのはつくれないハズなんだけど、
まぁキミたちもY先輩ぐらいでかいリーゼントにしたかったら
ピンクドラゴンに来てくれ、マブイものがあるぜ。
その名も「ドラゴンスプレー」。
コレさえあればキミも憧れのデカ頭になれる、一本たった千二百円よ。
こんなイカしたスプレーに出会えたキミは幸せ者だ!
でかいリーゼントは男のセックスアピールの王道だからな。
キミも明日からモテモテ街道まっしぐらよ、いい恋しろよ!
浮世を忘れた坊主でさえも木魚のワレメで思い出す。
そんなステキな季節がやって来たんだぜ!
作:ピンドラ若手最年長ゴリ
―2001年5月16日『YoKAN ワルダ』連載「ゴリちゃんのイシオシ」第2回より転載